「いじめっこ」ってだれかなぁ

8月に茅ヶ崎市美術館・夏季所蔵作品展を、小学生と鑑賞しました。
「あそび、おもちゃ」をテーマにセレクトされた多種多様な作品のうち、
2年生の男の子の目にとまった作品の1つが、菅野陽・作「いじめっこ」。

銅版画でモノクローム、抽象的な線で構成された作品です。
何人かの人物が一列に描かれていて、体の線の一部が隣の人とつながり合っているのですが、
端っこの一人だけ、誰ともつながっていません。

小学生にはナイーブなテーマかな?と思いつつ、聞いてみました。

「この絵の中で、“いじめっこ”ってだれかなぁ?」
「はじっこの人に向かい合って一番前に立ってる人だと思う」
「はじっこの人は?」
「いじめられてる人」
「そっかー、私もはじっこの人がいじめられてるのかなって思った。でもいじめてる人は一番前の人だけじゃなくて、後ろにつながってる人みんなかもしれないとも思ったなー。はやし立てたり、見てみないフリしたり」

こんな対話のあと、しばらくまたその子とじーっと作品を眺めました。
もちろん、その子は他の絵もいろいろ見ていました。


さて私には中学生の息子がおります。
新学期に「いじめ防止プログラム」のプリントが配布され、このやり取りを話したところ、

「オレは端っこのつながってない人が、“いじめっこ”だと思うよ」
「??」
「孤立してるから、いじめちゃうんじゃない?」

なるほどねぇ。そうも言える。

作家の菅野陽さんは、どう思って描いたのでしょうね・・・
1957年の作品です。

 

(文・NPO法人赤ちゃんからのアートフレンドシップ協会 代表理事 冨田めぐみ)